茜町春彦パーソナルメディア

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「読書ログ」第20回~第24回合併号

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白井聡著『国体論(集英社新書)』を少しづつ読み進めながら、感想文を投稿しています.この記事は第20回から第24回の合併号となります.

国体論:7章の1~7章の5

安田善次郎刺殺事件とかコミンテルンとか北一輝とか226事件などの話題に触れながら、戦前の国家体制の形成から崩壊していく過程を簡潔に解説しています.意外に面白かったです.

ちょっと引用します.
(P259)・・・北に言わせれば、明治維新による封建制の廃止から大日本帝国憲法の制定に至る過程を経て、日本の国体は紛れもない「公民国家」となったのであり、万世一系の標語によって、あたかも日本の国土と国民を天皇の所有物であるかのごとくに論じる国体論は、人類の発展史に逆行する「復古的革命主義」なのであった.このような北の明治維新観と社会進化論は、政治的にラディカルな含意を持つ.すなわち、国家が「公民国家」的状態を成立させ、さらにそれが一層高度化することによって、貧困が撲滅され、社会的平等が実現し、犯罪がなくなるという・・・この発展の大道における画期をなす出来事であるという意味で、北は明治維新を高く評価している.そしてそれと同時に、このような爆発的発展の軌道へと社会が歩みを進め始めたはずが、藩閥権力は政治を壟断し、財閥は私利を貪るのみで社会発展を停滞させ、また御用学者(=国体論者)は時計を反転させるイデオロギーを説くことで自己保身に汲々としているという現状に対して、北は怒髪天を衝く怒りを爆発させているのである・・・
引用を終わります.

いま北一輝が生きていたら、現政権に対しても怒りを爆発させるような気がします.まあ、分かりませんけどね.利権を漁る政府高官と経済団体と御用学者.足りないのは、軍部ですか・・・
(次回へ続く)