茜町春彦パーソナルメディア

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「読書ログ」

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題名:マーティン・ルーサー・キング
著者:黒崎真(岩波新書、820円税別)
発行:2018年3月20日第1刷

非暴力度:高い
対象読者:アメリカの公民権運動に興味のある人

感想:キング牧師が米国南部の黒人差別に反対して人権運動をしていたことは知っていました.

しかしキング牧師が、白人や先住民を含む全米貧困層に対する所得保障を米国政府に求めていたことと、ベトナム戦争に対する反戦活動を行なったことは、この本を読んで初めて知りました.

唯単に人権問題として人種差別に反対していただけではなく、貧困問題を解決して経済的に平等な社会をつくることに取り組もうとしたようです.

白人富裕層にとって都合の悪い経済格差解消と、米国政府にとって都合の悪い戦争反対を、打ち出した矢先に暗殺されたということです.もっとも白人男性による単独犯行が通説であり、政府機関による共謀のうわさはあっても証拠はないそうです.

ちょっと引用してみます、
(P226)・・・民主党オバマ政権においては、医療保険制度改革や国際協調主義など、社会的弱者に目を向け多国間の対話を重視する姿勢が生れたが、共和党トランプ政権は大統領自身がアメリカ第一主義と人種偏見の発言を繰りかえす中、この流れを逆行させようとしている.その結果、人種格差を伴う貧富の差は世界の動きと連動しながら拡大し続けている.今日、アメリカでは、トップの1%の超富裕層がアメリカの総資産の39%を所有する・・・アメリカはキングの「夢」にどれだけ近づいただろう.晩年のキングが重視した貧困根絶の取組みにおいては、むしろ遠ざかっているのである・・・
引用を終わります.