茜町春彦パーソナルメディア

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「読書ログ」

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題名:国家の共謀
著者:古賀茂明(角川新書、820円税別)
発行:2017年11月10日初版

反安倍政権度:高い
官僚制度改革度:高い
対象読者:政治的にリベラルな人

感想:以前この著者が維新の会にいたことを覚えていますが、推測ですけど、どうやら袂を分かったようです.

この本は、第1章から第6章まであります.

第1章では、軍事大国を目指す安倍政権の野望について解説をしています.ちょっと引用してみます.
(P32)・・・私たちはもともと、日米安全保障条約の意義として、「アメリカに日本を守ってもらう代わりに、日本は基地を提供する約束だ」と教えられてきた.それが今や「日米同盟(日米安保条約)を守らなければ日本を守れない」、だから「日米同盟を守ることは何よりも大事だ」という具合に、見事に話がすり変わっている・・・
引用を終わります.

第2章では、安倍政権が推進する成長戦略の裏側について解説をしています.ちょっと引用してみます.
(P89)・・・安倍政権が成長戦略の目玉として、表向きに打ち出しているのは、もちろんカジノではない.「働き方改革」だ・・・政府・経団連にとって、「改革」の真の狙いは、実は「残業代ゼロ法案」と称される「高度プロフェッショナル制度」(注:一定条件を満たす事務職などの労働者には、労働時間規制を適用除外とする)の導入など労働強化策の方にある・・・
引用を終わります.

第3章では、東芝やEVや原発などに対する経済産業省無為無策振りについて解説をしています.ちょっと引用してみます.
(P152)・・・原発が本当に安いのであれば、事故のリスクに保険をかけることができるはずだ・・・原発を動かす事業者には、事故のための損害賠償責任保険をかけることを法律で義務づけるべきではないか・・・そんなことをしたら、保険料が高くて原発はやっていけないという声が出そうだが、そんなことを言えば「原発は安全で安い」という主張は事実ではないということになり、「安いから動かす」というのは大嘘だと認めたことになる・・・
引用を終わります.

第4章では、もりかけ問題について解説をしています.ちょっと引用してみます.
(P176)・・・国家戦略特区の担当省庁は内閣府だ・・・したがって、内閣府の職員でもない首相秘書官がわざわざ今治市職員と会うのは、通常の仕事としては考えられない・・・つまり、2015年に柳瀬元首相秘書官が官邸で面会したことを立証することが、安倍首相が加計学園獣医学部新設計画を事前に知っていたことを証明する上で、大変重要な意味を持つのである・・・
引用を終わります.

第5章では、省庁の官僚人事の問題点について解説をしています.ちょっと引用してみます.
(P232)・・・官僚人事制度を公正に運用するためには、国民の監視機能が欠かせない・・・そのために不可欠なのが、正確な情報開示である・・・政策決定過程のあらゆる文書を残し、開示することを担保するための「公文書管理法」と「情報公開法」の抜本的改正案を国会議員はすぐにも提出すべきだ・・・
引用を終わります.

第6章では、マスコミと野党のだらしなさについて述べた後、安倍政権に対峙するための市民活動「フォーラム4」について解説をしています.ちょっと引用してみます.
(P269)・・・閉塞感が漂う今の日本の状況を打破しようと、私が始めた市民活動が「フォーラム4」である・・・
引用を終わります.

フォーラム4とは、初めて聞きましたが、政治的なグループのようです.事務局があるのかとか具体的な活動をしているのかとか分かりませんが、ホームページはあるようです.

まあ、なんて云うか、読んだ印象ですけど、この本はフォーラム4を宣伝するために書かれたような気がします.第1章から第5章までが現政権と官僚に問題のあることを指摘する長い前振りで、その問題を解決するために第6章でフォーラム4が登場して、読者に新しい未来を見せる.そんな感じの本なのかも知れません.

尤も、第6章の中で15件の政策提言を挙げていて、天下り全廃とか原発再稼働を認めないとか憲法9条改正を認めないとか日米地位協定の抜本的見直し等、なかなか好い事を言っていると思います.是非とも実現して頂きたい.それから第1章から第5章までも好い事を言っていると思いました.頑張ってください.