茜町春彦パーソナルメディア

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「読書ログ」

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今週のお題「読書の秋」その3


題名:ストーリー・ジーニアス
著者:リサ・クロン(フィルムアート社、2000円税別)
発行:2017年8月26日初版
感想:物語を書きたい人へ向けた文章読本です.大概の文章読本は実用性のない空理空論ばかりが書いてあってガッカリしますが、本書には結構まともなことが書いてあって、実用性があると思います.

では、すこし引用してみます.
(P014)物語とは、プロットや出来事そのもののことではない.物語とは、プロットのなかの出来事がどう主人公に影響するかであり、それによって主人公の内面がどう変わっていくかなのだ.
(P015)外面的な出来事がたくさん起きるだけの物語など、読者にとってはどうでもいいからだ.物語とは、外面的な闘いではなく、内面的な闘いを描くものだ.
(P030)簡潔に言えば、物語とは、困難なゴールを追い求めている誰かに対し、起きている出来事がどう影響するか、そしてその結果、その人がどう内面的な変化をとげるか、なのだ.
(P032)人は、ただ出来事が展開していくのを見るために物語を読むのではない.主人公が何かと闘い、次に何をするのかという過程を、主人公の視点を通じて経験するために読む.読者を魅了するものはそれだ.
(P036)ジョーゼフ・キャンベルの ”英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)” のような物語構造のモデルが、いかに物語をだいなしにしてしまうかも見ていこう.
引用を終わります.

本書のコンセプトは、この著者の前作の『脳が読みたくなるストーリーの書き方』と同じです.この前作は全く以て非常に読みにくい本でした.それに比べれば、本書はまだましで幾らか読み易くなっています.15章ありますが、順番に読んで行けば多分理解できると思います.

それから、本書は脳科学に基づいていると云っていますが、真偽のほどを確かめるすべを僕は持っていないので、これについては何とも言えませんが・・・