2016-08-30 1話配信 掌編物語 『散歩』 僕は散歩をしていた. 角を曲がって少し行ったとき、道の向こうから女性がひとり歩いて来た.僕が彼女を見たら、彼女も僕を見た.僕は思わず瞬きをしてしまった.しかし彼女も同時に瞬きをしたようだった.なぜなら僕が目をつぶりかけたときに彼女も目をつぶりかけているように見えたからだ. そこで僕はすれ違うとき、彼女に「僕たちは目をつぶり合った仲ですね」と伝えた. もちろん、心の中で.