『門番』
青い雄馬が赤い雌馬を連れて城までやって来た。雄馬は「中に入っても良いでしょうか」と、城の中の王様に訊いた。王様は決断出来なかったので大王様に訊いた。大王様は決断出来なかったので門番に任せた。
門番は「良い」と答えた。
『小鳥』
白狐に命令された黒狐が、狼を罠に掛けるために、遥々とやって来た。黒狐が罠を仕掛け終わった時、そこを小鳥が通り抜けた。黒狐は「アッ」と声を上げた。
狼は、罠の存在も黒狐の存在も、そして白狐の存在にも気付いた。
『川』
2匹の百足が川沿いの夜道をやって来た。前を見ると銀のスプーンが道を塞いでいた。2匹は力を合わせて、月の光を浴びて輝くスプーンを川に投げ込んだ。
それから大声で笑いながら再び歩き出した。
『親狸』
子狸が地面に穴を掘っていた。どこまでもどこまでも掘っていた。ある日、子狸は親狸を連れてやって来た。穴は埋まり地面が大きく窪んでいた。ウサギの住処が崩れていて、ウサギは泣いていた。
親狸はウサギに向かって「日は沈み、月が昇る」と言った。