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「読書ログ」

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題名:この世に「宗教」は存在しない
著者:白取春彦(ベスト新書、824円税別)
発行:2017年10月20日初版第1刷
感想:本書は序章と第一部と第二部に分かれています.

序章では宗教の定義と概要を示しています.第一部ではキリスト教イスラム教、ユダヤ教、仏教を批判的に解説しています.第二部では聖典を暗喩を使って読み解いています.第二部はとても興味深く読みました.

多分、この著者は哲学者なのだろうと思います、いわゆる宗教家ではありません.対象読者は、無宗教の人や無信心の人のなかでザット宗教と思想の違いについて考えてみたいと思っている人だと思います.宗教を信じている人はキット反論したくなると思いますので、読まない方が良いと思います.

余談ですけど、僕自身は無宗教で無信心です.

ちょっと引用してみます.
(P33)日本人に「宗教でいえば、あなたは仏教の方ですか?」と軽い感じで質問すれば、たいがいは「ええ、まあそうです」と答える.そういうふうに答える人でも「仏教経典」の一つも読んだことがない・・・
(P38)日本の仏教徒は、布施目当ての寺が勝手に創った数々の行事をすることを敬虔な信者の勤めだと思い込んでいる.一方で、ブッダが何を語ったのかを一つも知ろうとしない・・・
引用を終わります.

個人的な自慢話ですけど、摩訶般波羅蜜多心経の参考書を一冊持っています(すごい!)、般若心経を漢文として読んで意味もほぼ取れます(ご立派!).

もうちょっと引用してみます.
(P110)日本の仏教では四つ足獣の肉食と飲酒は禁止になっているのだが、実際には酒を般若湯(仏の知恵が湧く湯)と言い換えて飲んでいたし、江戸時代には猪の肉をぼたん、鹿肉をもみじ、馬肉をさくらと呼んで食べていた・・・
引用を終わります.

現在でも仏教は肉食禁止だと思うんですけどねぇ.それからついでに言うと、坊主が女房子供がいるのにもかかわらず出家したという意味が僕には分かりません.女房子供がいたら在家です.

あと少し引用してみます.
(P229)ところで国家の最大の特徴とは何だろうか.それは、「暴力の独占」である.だから、国家は軍隊を持ち、警察機構を敷き、自分たちが善悪や倫理を決め、自分たちで決めた法律で人を裁く・・・
(P230)そういう国家や支配者がいつでも脅威となりうる暴力の次にコントロールしたいのは、支配下にある人々の考え方である.考え方がわかれば、価値観も行動の順番も予想ができ、脅威が減るからである.そのために道具として利用されたのが道徳や宗教である.各国の歴史を見ればすぐわかる.大きな影響力を持つにいたった宗教は必ず統治者か国家と結びついてきた.国家と宗教が分担して人々の腹と心と金銭を支配してきたのである・・・
引用を終わります.

余談ですけど、イエスキリストが説いた「愛」とか「神」が何の暗喩なのか、勝手に考えてみました.本書の第二部第七章を読んだ上での思い付きに過ぎませんが、「平等」の暗喩かも知れないと思いました.「愛」は平等を意味し「神」は平等の擬人化.イエスキリストは2000年前に生まれたカールマルクスだったのかもね.