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「読書ログ」ネタバレ若干あり

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題名:プロパガンダゲーム
著者:根本聡一郎(双葉文庫、657円税別)
発行:2017年10月15日第1刷
感想:電子書籍を文庫化したものです.

ある広告代理店に就職を希望する8人の大学生の物語です.その広告代理店の最終選考では、RPGのような対戦型ゲームの勝敗を8人で争い、内定が決まると云うことになっています.

1章から24章まであります.1章から3章までは、ほぼゲームの設定の説明です.ゲームにおけるアクションがどうしたとか、ポイントの消費がこうしたとかで、面白みのない展開が続きます.

4章から、内定をもらうためのゲームが始まります.ここからはスイスイと話は進みます.19章までが小説としての前半で、20章から後半です.後半の方が面白かったです.

本書のテーマは「メディアとか政府とかのシステムがおかしいと思うのなら、自分たちで変える努力をしろ」と云うことだと思いますが、もしかしたら「戦争は絶対にダメだと思うのであっても、若しくは、戦争は必要悪だから仕方ないと思うのであっても、扇動されてそう思うのではなく、自分で考えて自分なりの意見を持て」と云っているのかも知れません.もっと簡単に「物事には表と裏がある」がテーマかも知れません.

重い感じの小説と思われるかも知れませんが、お話自体は荒唐無稽な調子の軽いノリでスルスルと進み、読みやすいです.ただ、地の文章が神の視点で書かれているのか、それとも登場人物の心の中の言葉なのか、一体誰が言っているのか判然としないところが何か所もありました.まあ、なんとなく分かりましたけど・・・