茜町春彦パーソナルメディア

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「読書ログ」

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題名:核に縛られる日本
著者:田井中雅人(角川新書、840円税別)
発行:2017年10月10日初版
感想:本書は、核兵器禁止条約交渉に日本が参加しない事や広島長崎に投下した原爆に対して米国人が思っている事や米国内の核兵器製造施設や実験場などの周辺住民が被爆被害を受けている事、などについて解説しています.

米国の核兵器開発はシッカリと管理されていて問題など起きない、と思っていましたが、どうやらそんなことはなく、製造施設や実験場周辺では戦時中から今に至るまで相当いい加減な事を行なっているようです.

ちょっと引用してみます.
(P143)・・・原爆開発のための土地を探していた米陸軍のフランクリン・マサイエス大佐がハンフォードに白羽の矢を立てたのは、広大な土地があり、コロンビア川から原子炉を冷却するための豊富な水が得られ、上流のグランドクーリーダムからの電力供給ものぞめたからだ.過疎地なので秘密も守りやすい.数千人の農家や先住民を追い出し、科学者や労働者ら5万人余りがハンフォードに移住して従事した・・・
(P169)・・・プルトニウムの生産過程で生じた放射性物質や様々な化学物質が含まれた泥状の高レベル放射性廃液は地中深く埋められた177基の巨大タンクに保管されている・・・これまでにタンクから少なくともプール7杯分の廃液が誤って地中に漏れ出たという・・・住民たちは、大気中やコロンビア川に放出された放射性物質のせいで、がんなどの健康被害が多発していると主張する・・・
引用を終わります.

それから、本書には参考資料として核兵器禁止条約の日本語訳が記載されています.初めてこの条約を読んだのですが、これでは日本は核兵器禁止条約を批准できないだろうなぁ、と思いました.

第1条には核兵器の開発や製造や保有などの禁止項目が挙げられています.これだけなら、日本は開発などしていないので条約をスンナリ批准しても何も問題は起きないと思います.

しかし、第2条の一の(c)項と第4条の四項に書いてあることを見ると、あーこれでは、霞が関のボンクラや永田町のスットコドッコイでは批准できないだろうなぁ、と思いました.

ちょっと引用してみます.
(P230)・・・(c)・・・領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置があるかどうかの申告・・・
(P233)・・・四・・・領内やその他の管轄・支配している場所において、他国が所有、保有、管理する核兵器やその他の核爆発装置がある締約国は、それら兵器についてできるだけ速やかに、ただ締約国の最初の会議で決めた締め切りより遅れることなく、迅速な撤去を確実にする・・・
引用を終わります.

これらの条文を具体的に考えてみると、沖縄とかの日本の領内に、他国である米軍が核兵器を持ち込んだら、日本政府は国連に申告すると共に、撤去する義務が発生することを意味すると思います.

この条約をそのへんのコッパ国連大使如きが賛成しちゃったら、CIAとか米軍の特殊部隊に暗殺されても文句言えないだろうなぁ、と思いました.

アーちょっと言い過ぎたかもしれませんので言い直します.

この条約を一介の国連大使が賛成をしたならば、日米合同委員会で日本側代表が吊るし上げを喰らうだろうなぁ、と思いました.