茜町春彦パーソナルメディア

投稿は不定期です.

3話配信

『自慢』
3匹の浅蜊が集まって自分たちの殻の模様を自慢していた.1匹目の浅蜊が「私の模様の素晴らしさは東洋一なのよ」と言った.2匹目の浅蜊が「お父さんが云うには私の模様は世界一ですって」と言った.3匹目の浅蜊が自慢を言おうとした時、蛤が1匹やって来た.

3匹目の浅蜊は静かに口を閉じた.


『魚の鱗』
青蛙のパーティーがあった.ドレスや宝石で着飾った青蛙たちが集まって来た.最後にやって来た青蛙は何も身につけていなかった.恥ずかしさのあまり赤くなってしまったが、我慢して輪の中に入った.

魚の鱗が一枚落ちていたので、拾って頭の上に乗せてみた.


『柱』
グリーン・ネズミ君は、玄関の扉が壊れたので建具屋を呼んだ。交換した方が良いが修理もできると言う.修理を頼んだら扉は直った.しかし、柱を少し削られてしまった.修理の場合は柱を削る必要があったのだと言う.グリーン・ネズミ君は削るくらいなら交換すれば良かったと思いながら代金を支払った.それから、山の上の池に住む老いた鯰の所へ行き、事情を話し「修理より交換すべきだったのでしょうか」と尋ねた.鯰はゆっくりと「失ったものより、残っているものを考えなさるがよい」と答えた.

老いた鯰の体が少し縮んだように見えた.