茜町春彦パーソナルメディア

投稿は不定期です.

「読書ログ」

f:id:akanemachi:20180209121524j:plain

題名:哲学的な何か、あと数学とか
著者:飲茶(二見文庫、700円税別)
発行:2018年2月28日初版
(本書は2009年二見書房刊行の単行本を加筆修正して文庫化したものです)

数式使用度:低い
対象読者:数学の歴史に興味のある人

感想:フェルマーの最終定理ワイルズによる証明に、オイラーガウスヒルベルトや谷山や志村などの数学者の業績が如何に係わっていたか、を解説しています.

素因数分解とか累乗とか虚数とか、昔勉強したことがあったなぁと、何となくでも覚えていれば、物語り仕立てで書いてありますので、数学の知識が余り無くても十分面白く読めると思います.

全く覚えていなくても、数式は殆んど出てきませんし、出てきても読み飛ばして数学者たちの人間模様を追うだけでも楽しめる一冊だと思います.

例えば有名ミュージシャンになろうと努力したがついに芽が出ず人生を棒に振ってしまったとか、弁護士になろうとして司法試験を受け続けたけどダメだったとか、そんな何か手の届かないものに挑戦し挫折してしまうと云う事が世の中にはあると思いますが、この本には誰も解けなかった数学の超難問を解くことに人生を賭けた数学者たちの姿が軽いタッチで描かれています.

たとえ人生を棒に振ることになっても、人には人生を賭けてでもする事が何か必要ではないか、若しくは、あった方が絶対楽しい人生になるはずだ・・・そんなことを主張している本です.